「骨太方針2019」における歯科医療の方向性

日差しがきつい日が続きますね。5月の暑さはなんだったのだろうというくらい朝晩は涼しいですが、いよいよ梅雨入り目前?とのことで、みなさまも体調には気を付けてお過ごしください。

さて、令和元年6月11日に安倍内閣による「経済財政運営と改革の基本方針 2019」いわゆる「骨太の方針 2019」素案が出されました。社会保障分野において(予防・健康づくりの推進)として歯科医療に関する方針も明記されていますので、まずはそのままシェア致します。

「健康増進の観点から受動喫煙対策を徹底する。また、産学官連携による推進体制を2020 年度末までに整備し、自然に健康になれる食環境づくりを推進する。口腔の健康は全身の健康にもつながることからエビデンスを蓄積しつつ、国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診フレイル対策にもつながる歯科医師、歯科衛生士による口腔機能管理など歯科口腔保健の充実、入院患者への口腔衛生管理などの医科歯科連携に加え、介護障害福祉関係機関との連携を含む歯科保健医療提供体制の構築に取り組む。生涯を通じた女性の健康支援の強化に取り組む。アレルギー疾患の重症化予防と症状の軽減に向けた対策を推進する。あわせて、健康サポート薬局についても、その効果を検証しつつ取組を進める。アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症対策について、相談・治療 体制の整備や民間団体への支援等に取り組む。難聴児の早期支援に向けた保健・医療・ 福祉・教育の関係機関の連携体制の構築など難聴対策の強化に取り組む。 」(内閣府:令和元年第3回経済財政諮問会議 資料2-1より抜粋)

とあります。小難しいので途中で読むのをやめてしまおうかと思いましたが、一応社会保障以外の項目も目を通しました。歯科医療の情報サイトでは歯科に関する部分のみ抜粋して論じていますが、なるべく前後関係が分かるようにあえて(予防・健康づくりの推進)の一環としての取り組みだとわかるように載せました。

そのなかで歯科に関することをみていきますと、「口腔の健康は全身の健康にもつながる」「生涯を通じた歯科検診」「フレイル対策にもつながる歯科医師、歯科衛生士による歯科口腔保健の充実」「入院患者への口腔衛生管理などの医科歯科連携」「介護、障害福祉関係機関との連携を含む保健医療提供体制の構築」と明記されています。

おおむねの方向性は把握していましたし、当院でも20年ほど前から訪問歯科診療を行っておりますが、特筆すべきは最後の「介護、障害福祉関係機関との連携」だと思われます。

介護福祉関係機関と連携というのに関しては、都市部に集中してはいますが、多くの医院が高齢者施設等で歯科検診や訪問歯科診療を行っています。ですが、障害福祉関係機関に関しては、全くと言ってよいほど足りていない状態だと聞いています。今後は障害福祉に関してアプローチが必要になると思われます。

追記:昨年の「骨太の方針 2018」の同じ部分を抜粋してみました。「口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者をはじめとする国民に対する口腔機能管理の推進など歯科口腔保健の充実や、地域における医科歯科連携の構築など歯科保健医療の充実に取り組む。生涯を通じた女性の健康支援の強化に取り組む。乳幼児期・学童期の健康情報の一元的活用の検討などに取り組む。アレルギー疾患対策基本指針184に基づき、アレルギー疾患の重症化の予防や症状の軽減に向けた対策を推進する。」(内閣府:経済財政運営と改革の基本方針 2018より抜粋)

「骨太の方針 2019」と比較してみますと、今年新しく出てきたワードとして「フレイル対策」「障害福祉関係」があるようです。やはり障害福祉に関する取り組みが必要とされているのが反映されているようですね。今後の課題です。

そして医療全般の課題とも言えますが、医療費の削減健康寿命の延伸、などを目指す、医学会系のなかでも最大規模の抗加齢医学会という学会があります。実は明日6/14から横浜で抗加齢医学会総会が開催されます。私も参加して参りますので、骨太方針2019も考慮した、「予防・健康づくり」に関する情報をたくさん得てきますので、また帰ってきたらシェアしたいと思います!

最後までお付き合いいただきありがとうございました^^